今年の府中駅伝は、勝負の行方が読めない戦国駅伝。「どうも小手森です」が2区小手森で先頭にたって以降、その差を十分に保ってのレース運びで優勝。が、2位以下は順位の変動がめまぐるしい展開であった。
10時30分スタートの号砲。
1区は文字通り「仁義なき闘い」の火蓋が切って落とされた。スタート直後は高校生や一般ランナーもエース級を揃え、ポジション取りももはや戦争。まず池田がコースの右側から先行し、その真後ろを緒方がピッタリマーク。この時点で2人の学内区間賞争いと、後方でOBの松野氏、中澤、東の三つ巴の様相で、その後ろに杉浦氏がつける形か。2人の争いは1km手前でO型が前に出て引っ張る形になり、そのまま是政橋ののぼり坂を登り切る。1kmの通過は3'05"ほどとまずまずのペース。その後他の一般ランナーも含めた小さい集団を形成…というわけにはいかず、池田がいつものペースメーカーから一転して上げたり下げたりの揺さぶりを小刻みにかける。緒方もそれを嫌がってか、2km付近で前に出て引っ張る形になり、そのまま折り返し。2人の折り返しでの通過タイムは7'15"。この付近の1kmは3'15"/kmくらいか。折り返してからは向かい風が強くなり、風除けのためのポジション取りも重要になる。是政橋までは抜きつ抜かれつの並走が続いたが、勝負が動いたのは是政橋の下り坂。その手前で緒方の様子がおかしくなってきたのを感じた池田が、くだり坂付近で逃げ切りを図る。どうやらその付近で一度緒方はもどしたらしく、その隙に池田と10秒くらい差がついた。中継地点のグランドに最初に飛び込んできたのは戦前の予想を裏切って池田。2区太刀川と襷の受け渡しでアクシデントが起こるも、16'40"のトップで襷を渡す。緒方は2秒差の16'42"で襷リレー。三つ巴の闘いは松野氏が折り返し後に頭1つ抜け出して18'18"で、その後中澤が18'48"で続く。東はブレーキとなってしまったようだ。その直後に杉浦氏が襷を渡し、勝負は2区以降へ。
華の2区。小手森が早々に太刀川に追いつくと、そのまま抜き去る。一方、中澤から襷を受けた三上もOBチームの佐藤をかわし、追撃開始。小手森は最後痛々しい姿になりながらも区間賞の走りで1分半以上の差をつけ、トップで襷リレー。続いて太刀川、三上と襷を渡してレースは混戦模様。
<2区区間賞>小手森コメント
「当初は22'30"を目標に走ろうと思ってました。緒方から襷を受け取り、初めての襷にちょっと手間取りながらもうまくスタートして300mくらいで太刀川と並び、「ここでついていっても後半突き放されると思い」、後半太刀川がスパートをかけても追いつかれないように今のうちに差をつけておこうと思って太刀川の前に出ました。その後は、とにかく腹が痛くならないようにと願いながら走っていました。折り返しの地点で結構な差があることが分かったので少し余裕が出来ました。が、ラスト500mあたりでわき腹が痛くなってしまい、スパートをかけようと思っていたのが逆に失速してしまいました。あまりに苦しかったので、最後はカラダを折るように、フラフラになりながら平田先輩に襷を繋ぎました。走り終わった後はしばらく動けませんでしたが、思っていたよりもだいぶタイムが良かったのでチーム名以外は満足です。」
3区では、3位で襷を受けた澤田が追撃開始。前を行く是政橋付近で須崎をかわし、先頭を行く平田を追いかける。が、平田もリードを保とうと必死で逃げる。
3区終了時点で、上位3チームが4分以内の混戦模様となり、ここまで遅れを取っている4位の「大和魂」の4区はなぜかここに配置された前年度区間2位の中里が控えるだけに、4区でさらなる順位変動が予想される。
<3区区間賞>澤田コメント
「須崎を是政橋付近でかわし、そのまま平田に追いつきたかったけれど、いまいちの走りだったので追いつけませんでした。気がつけば区間賞だったんので驚きです。まだカラダが痛いです。」
4区は中長女子区間。その中に1人元・中長パート長の中里が配置されているので「大和魂」はここで一気に差をつめたいところ。先頭で襷をもらった藤野は2位と約1分の差をもらってのスタートながら、その後ろから来る浅田、中里のプレッシャーとの戦いもある。が、ここはいつも1人で練習している精神力をいかんなく発揮し、自分のペースを保ってひた走る。そのまま磐石の体制でアンカー野村へ襷リレー。一方、4位で襷をもらった中里はひたすら前を追い、2チームをかわして2位へ浮上。先頭の藤野までは差がありすぎたものの、5分あったその差を2分まで縮め、レースは予想通り混戦模様。
<4区区間賞>中里コメント
「カリウキ、吉村、藤原らがいるなかで区間賞を取れたことは、素直にうれしいです。本当は区間新をマークして府中の歴史に名前を残したかったんですけれど、後半向かい風に阻まれてしまいました。欠場した岩水の分も、という気持ちで頑張りました。岩水のためにも往路は絶対勝ちたかったので、往路3位の結果は残念です。でもきっと復路で後輩たちががんばってくれると信じています。」
<4区女子内トップ>藤野コメント
「トップで襷を渡されたので若干プレッシャーを感じつつ、しかもあさまりさんに「You追いかけてくから」と直前に言われたので、ちょっとした恐怖にかられて前半飛ばしすぎてしまいました。途中で須崎先輩とすれ違ってちょっとした懐かしさを感じました(笑)。
後ろの状況が全くわからなかったのですが、折り返してから彩ちゃんと僅差であることを知って気が抜けず、けれどもあさまりさんとはなかなかすれ違わなかったので途中から内心ほっとしてました…。光先輩ともすれ違いましたがなかなか軽快な走りだったように見えました。後半はかなりペースが落ちてしまいましたが何とか貯金を崩さずにアンカーの優里ちゃんにつなげたので良かったです☆」
レースはいよいよアンカー勝負。
トップを野村が悠々と独走し、2分差で草川が追う。が、その後方から女子区間記録を超えんとばかりに小松が驚異的な追い上げを魅せた。折り返し地点までに草川を射程圏内に収めると、折り返して戻るときにはすでに抜き去り、その前を行く野村も視界に捕らえる。だが、襷が渡った時点での4分差をひっくり返すのは「山の神」こと今井にしか成せない偉業。最初にゴールテープを切ったのは野村。その40秒後には小松が2位でゴール。4分近くあった差を40秒差まで詰め、女子ではおそらく歴代2位20'44"。なんという底力であろうか。
また、急遽OBチームのアンカーとして助っ人となった緒方の2本目は終始一人であったものの、ペースを崩さずに17'10"という好タイム。やはり1本目は何かおかしかったのだろう。
<5区区間賞>小松コメント
「4年間で1番練習をしていなかったけれど、4年間で1番アドレナリンの出るような展開で襷をつないでもらいました。気がつけばちゃっかり20分台が出てしまいました…恐るべしアドレナリンの御力です。まさに精神が脂肪を凌駕しましたね。」
来年は私も最終学年。区間新となるであろう「15分台」をぜひ狙いたいものです。
それではまた来年の2月11日にお会いしましょう!
記者:池田 俊